新しい技術はなかなか浸透しない

なんだかんだと新しい技術,方法がもてはやされていますが,学校現場にそういった新しいことが入ってくるには,相当な時間がかかることも頭に入れておくべきでしょう。

実際に私が経験してきた時間経過を振り返ってみたいと思います。

事例として,学校で必須の仕事である,「授業の実施内容・時間の集計」を例に取ってみます。
この仕事の必要・不要の議論はここではやりません。

授業の実施内容・時間の集計は,各学年でどれだけ実施しているか,授業時間の偏りがないかなどを確認するため,学校ごとに教育委員会に提出しなければなりません。

提出業務ですから,学年主任などが行えばよいのですが,学校内でも見ておく必要があるので,普通は各担任全員が毎月集計し,あるまとまった時期に教務主任等が点検します。

集約するのは毎日の授業の簡単な内容と実施した時間の集計。
会社で言えば「業務日誌」のようなものでしょうか。

ここ最近ようやく校務支援ソフトや,自治体ごとに校務に特化したグループウェアなどが入ってきたようです。

私はこれらの仕事はすでに,新規採用の次の年,平成6年にはエクセルで自前でやっていました。
ただし,提出は指導簿と呼ばれる冊子だったので,パソコンで集計して転記していました。
1校目ではそのやり方です。

3年後に転勤して2校目では,手書きの転記がなくなりエクセルのシートをプリントして紙ファイルに綴じて出してもいいことになりました。
ただし,この学校ではまだ手書きもOKで混在していました。
これが平成8~11年です。

3校目には完全にプリントアウトに移行しました。
それまで私だけが使っていたエクセルのシートが校内で採用され,担任の先生が全員使うようになりました。

4校目も私のシート,5校目では他の先生が作ったシートがありそれを使用していたということです。

私の場合は平成10年ごろからすでにICT化が図られうまくいっていたわけですが,関東のとある市では,この集計,提出作業を未だに手書きでやっているところがあります。

この間,約20年です。

現在は校務支援ソフトも普及し,連絡票も印刷OKというところもかなりありますが,昔は連絡票に所見を市販のラベルで印字してそれを貼り付けていました。
これも,私の記憶では初めて導入した勤務校では平成10年頃だったと思います。

つまり,何を言いたいかというと,ここまでの話は私の自慢話ではなく,教育現場で新しい技術が浸透するには相当の年月を要するということでです。

しかしそれは情報の伝わる速さではありません。
SNSの時代に,それはもはや考慮する必要がない事柄です。

学校現場で,そういった技術をどう取り入れ実際に運用していくまでのコンセンサスを取るのかに相当時間がかかります。

今でこそ学校も紙のサイズはほとんどA4版になってきましたが,私の4校目の勤務校で,私がA4サイズの統一化を提案したときも,全部変わるまで3,4年かかりました。
職員会議のプリントを印刷するのに,B4,A4縦横混在,おまけに2つ折り,3つ折りのミックス。
非効率の極み…。
今思い出しても,私は笑えません…。

ただでさえ時間がかかるのですから,そのかかる時間も見越した上で改革を進める。

1歩先,2歩先,3歩先を見越しておく目が必要なのです。


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