STEM教育=プログラミング教育 ではない

最近の教育の話題として,STEM教育を目にする機会が増えてきました。
それと同時に,STEM教育はプログラミング教育のような書き方をしている記事もよく見るようになりました。

ここではそのあたりのことについて書いておきたいと思います。

日本では,経済産業省が2019年8月に出した,「未来の教室」ビジョン 「未来の教室」と EdTech 研究会 第2次提言 が代表だろうと思いますが,以下のように述べています。

「学びの STEAM 化」:一人ひとり違うワクワクを核に、「知る」と「創る」が循環する、文理融合の学びに 「STEAM」という語は、STEM と Arts を合わせた造語であり、米国、中国はじめ世界の様々な国で進む、第4次産業革命等の潮流を意識した教育改革において、非常に重視されている概念である。
そもそも「STEM」という語は、1990 年代から 2000 年代初頭の米国において、産業競争力を支えるハイテ ク産業に従事できる人材の不足が不安視され、その対策として進められた教育改革のキーワードになった。
それは S(Science:科学)、T(Technology:技術)、E(Engineering:工学)、M(Mathematics:数学)といった学問分野の総称を意味し、ロボティクスやプログラミングを駆使したものづくりや、実験を通じて、科学技術への理
解を深める学びを表す言葉として用いられることが多い。そして、「STEM」に、より幸福な人間社会を創造する上で欠かせないデザイン思考や幅広い教養、つまりリベラルアーツ(Arts)の要素を編み込んだ学びが、 「STEAM」であると言えよう。

日本におけるSTEM教育に関する研究は,熊野善介(静岡大)が詳しいすが,STEM教育の構成に関する事柄では,胸組虎胤(鳴門教育大)も詳しいです。

出典は後で記しておきますが,いずれの先駆けにある研究で言われているのが,各教科,科目等の統合や融合の度合いが問題となっています。

つまり,統合か融合かということはあるものの,各領域,分野の学問的内容や学習内容が何らかの形で重なり合う,組み合わさるような学習です。

例えば,数学と芸術で言えば,遠近法が好例です。
遠近法は厳密な空間幾何から出発していますし,物理学はほとんどが数学ではないかと思わせられることはよく知られているでしょう。

そういったように何か単独の学習内容で完結するものではありません。

プログラミングには,読者の皆さんがすでにご承知のように,論理的思考力やもちろん数学の知識も入ってくるし,今はやりの様々なロボットをプログラミングで動かそうということも含まれています。

それはSTEM教育で言うところの,数学や工学の知識が必要です。

つまり,大事なのは「SETM教育の中にプログラミング教育も含まれる」,ということだと思います。
今後はSTEM教育をはじめ,STEAM教育など,頭文字が増えれば増えるほど,内容はどんどん融合的・複合的になり,そのカバーする範囲も広範囲になっていくでしょう。

STEM教育=プログラミング教育 ではなくて
STEM教育 ⊃ プログラミング教育
ということをしっかり押さえておきたいと思います。

熊野善介(2015). 最新のアメリカの STEM 教育の展開‐第78回ITEEA国際会とNSTA,STEM教育連合,TechShopの訪問分析‐,日本科学教育学会研究会研究報告30巻9号,57-62.
熊野善介(2016). 日本におけるSTEM教育研究の在り方と展望―アメリカのSTEM教育改革の理論と実践を踏まえて―,日本科学教育学会年会論文集40巻,11-14.
胸組虎胤(2019).STEM教育とSTEAM教育 : 歴史,定義,学問分野統合,鳴門教育大学研究紀要,34巻,58 – 72


“STEM教育=プログラミング教育 ではない” への1件のコメント

  1. 腑に落ちました。きちんとSTEMやSTEAMについての、基本的な枠組みを理解することができました。現場での今後の指導についててもお話させていただきたいですσ^_^;よろしくお願いいたします。

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