現場では,「ミドルリーダー」と言われ,何のことやら分からず校長に尻をたたかれている「管理職予備軍」がいます。
私と同じ40代後半の先生です。
採用時期は今の50代ほどではなかったにしろ,かなり余裕を持って採用された人たちです。
でも,20年以上たった今は,そのほとんど管理職にならないとそのポストが埋まらない状況です。
つまり,みんな管理職に「ならなければならない」世代なのです。
こんな時代が来るとは,予想できていた人はあまりいないのではないかと思います。
しかも,この状況が自分の目の前にあると,さらに状況は変わってきます。
さらにやっかいなことに,この世代(私たちの世代)は,若いときにはそこそこ人数がいたため,体育の指導だ,グランドのライン引きだと,とかく体育的行事にかり出された世代でもあります。
勉強すべき若いときに,学級経営,学校経営,校長学など,全く教わっていません。
イケイケ!でやれた人なのです。
私は自分が若いときから,そういった人たちが40代後半になったときのことを,おおよそ予想できていました。
若手から学習指導のことや学級経営のことを聞かれても,理路整然と説明できない年だけ重ねた教員の姿です。
でも,校長でも,そういったことを育てていなかったわけではありません。
私が30代前半に一緒に勤めた校長は,よくこんなことを私に言っていました。
「マナブ先生よ,
学年のことを考えず,自分の学級しか考えなかったら,それは給料泥棒だ。
学校のことを考えず,学年のことしか考えなかったら,これも給料泥棒だ。
市全体の教育を考えずに,自分の学校しか考えなかったら,これも給料泥棒だ」と。
まあ,給料泥棒という表現は,私が中学生時代に実は教わった先生だったので,親近感もあってそういう表現になったのだと思いますが(笑),要は「より広い視野で教育を考える」ことを説かれたのだと思います。
私が初任者でいっしょに勤めた教務主任の先生(後に校長になられました)や,私が知っている校長先生も,「~~のような問題を,ゴトウ先生はどう考える~?」などというように,決まって誰もいない職員室で,2人きりになったときなど,話題を振ってくる先生がいました。
話題いかんでは,そっくりそのまま管理職試験の面接で出てもおかしくない内容です。
この方法はかなり緩やかですが,教師として,管理職としての広い視野を持つという素地を鍛えているのだと思います。
こういう日常的で地道な問いが,視野を広範にし自分の身の回りの教育課題を自分のもととして考えることができる教師を育てるのではないかと思います。
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