若手教師の育て方 -読売新聞の記事から-

2018年2月28日読売新聞23面の「新聞@スクール 先生の相談室」という記事。

相当な違和感を感じたので記しておこうかと思います。

「Q若い教師 やる気を感じない A ためらわず指導して」

いわゆる人生相談のように質問者に解答者が答えるもので,解答者は都立高校の校長先生。

 

前もって断っておきたいのですが,こういう記事を部分的に切り抜くのは,前後の脈絡が続かないと解釈が変わり危険なので,ぜひ実際の記事をご覧下さい。

 

質問者は東京都公立小副校長。

質問文は,「若い教師にやる気を起こさせるにはどうすればいいのか」「仕事がたくさんある先生もいる」「残ってやってほしいというのも難しいです」というような趣旨です。

 

解答者の校長のコメントは,

1 仕事上の悩みは,おなかにため込まずに,言っちゃったらどうでしょうか

2 教師の責任は重い。たとえブラックといわれようが,手抜きは許されない

3 1日も早く「教師が自分の天職だ」という意識をもって,子どもと向かい合ってほしい

4 若手に仕事の喜びを感じさせるためには,いろいろな経験をさせ,成功体験を積み重ねてもらうこと

5 それをほめ続けることで職場の雰囲気も高まっていくだろう

 

というものでした。

私が強い違和感を感じたのは2つ。

 

1つは質問者の副校長の質問の内容。

やる気のない困った若手に対して,残って仕事をやってほしいと思っていること,です。

質問者自体が,管理職としてどうかな…,と思いました。

 

研究的視点から見ると,「なぜ,自校の若手がやる気が感じられないのか」その分析はされたのでしょうか。

私は,結果があれば,必ず原因があると思います。

1人1人の若手教師の性格が問題なのか,それとも学校自体になにかやる気の出ない問題があるのか,分析する必要があると思います。

それをやった上で,という記述がありません。

 

若手教師だって,大学生の頃は希望に燃えて教員採用試験の勉強をして,教育実習に行ってさらにやる気を高め,合格を勝ち取って胸を膨らませて着任したはずです。

毎年,私のゼミの卒業生は小学校の教員になっていきますが,逆にそうでない学生はいません。

 

それが数年でしぼんでしまう原因は,むしろ職場にあると考えるべき,と私は思います。

 

もう1つの決定的なことは,「残ってやっていってほしい」という副校長の思いです。

これは私のブログを読んで頂ければ分かると思いますが,完全にアウトです。

どう考えても,アウトです(笑)。

もう少し勉強してほしいと思います。

 

もう1つはこの解答者である校長の考えです。

 

まず,小学校の副校長の質問に対して高校の校長が解答者では,全くかみ合いません。

私の弟は高校の教員でしたからよくその違いについて聞きましたが,小学校と高校は全く違います。

これは選んだ読売新聞も,センスを疑います。

明らかに人選ミスです。

 

次にコメントの中味ですが,私が付けた番号の1から3は,間違ってはいませんが,そのようにしたい,思ってほしいなら相当な手立てが必要です。

手立てというのは日常的な校長と教員の人間関係,コミュニケーションの構築などです。

それがないままそんなことを言っても,空振りするのは目に見えています。

 

後半の4と5は,私の感じでは「かなり的はずれ」だと思います。

現在の「ゆとり世代」を通り越した「さとり世代」の若者は,こんなことでは動きません。

そういった若者の行動様式,特徴をよく知るべきです。

公務員とか聖職者とか言っても,ほとんど響かないでしょう。

 

現代の若者は意味のない経験には興味を全く示しません。これは私の経験則もありますし,多くの人が言っています。

やみくもにいろいろやらせるなどということは,全く論外です。

とにかく無駄なこと,ためにならないと分かっていることを極端に避ける傾向が強いのです。

そういう特性を知るべきです。

 

ではどうすればいいか。

方法はいろいろありますが,私が大学でも気をつけていることですが,1つは

「意味づけをしっかりやる」ということです。

意味を感じられないことには動きませんが,どうしてそれが大事なのか,君のしていることがひいてはどういったことにつながっていくのか,見通しを明確に指し示すことです。

そうすればだいたいは動き出します。

 

もう1つは,ほめ続けても職場の雰囲気は高まりません。

若手は,すでにほめられることに慣れています。というか,どんどん求めてきます。

平気で「ほめられて伸びるタイプです!」と公言する若手教師はいっぱいいます。

まず,中堅,年配の先生の反応です。気をつけるべきでしょう。

もう1つは,若手も,ときどき「落っことしてやる」ことです。

これも結構ポイントです。

でも,くれぐれもほめる回数の方が多くないと完全に枯れてしまいます(笑)。

そこも大事です。

 

 

 


“若手教師の育て方 -読売新聞の記事から-” への3件のコメント

  1.  もっともなご意見の記事だと思いました。読売新聞を読んでいて記事も読んだはずですが、興味なく、よく覚えていませんでした。ありがとうございます。
     自己紹介です。私はしがない72の企業定年退職者で、10年高校の非常勤、10年大学の非常勤をサラリーマンの傍ら兼務した男です。
     サラリーマンを36年、企業顧問を10年近くした物としては、管理は教育と全く違うと思っています。学校も組織や人は管理する。生徒も教室もかも。優秀なやる気のある若者を管理するのは難しい。管理にも経験が必須です。若い時から管理を経験した人でないと管理者はできません。
     学校に管理の難しさを分かっている人はいません。校長も副校長も管理は晩年で任されたはず。功成り遂げた、50から管理者になって、やる気のある若い先生を管理できるわけがない。管理以上に学校のシステム運営は難しい。会社で言えば、校長は社長のような経営者です。60直前で担当して経営者になれるわけがない。
     以前から管理人様は記事を書かれていたと思っていましたが、アクセスしたのは多分初めてです。アクセスするとコメントする企業人の心からコメントを残していて他意はありません。でも少し他意があるとも言うべきかも。
     私が昔、非常勤をした学校で問題があったようで、どうすれば良かったのか、昔を思い出してまたブログ村の先生の関連して良そうな記事を読んでいました。問題発生の理由がもう一つ分かりました。ありがとうございます。

    1. コメントありがとうございます。
      おっしゃるように,管理と教育は違うと思います。
      学校では,教育委員会に指導主事などで入った経験がある人ならまだしも,4月1日から副校長,という人も大勢います。
      それまで,学校や地域の教育について考えてきた人でないと務まらないでしょう。
      単に授業がうまいから副校長,ではどちらにとっても酷ですね。
      やはり若いうちから,広い視野で自分の関わる学年や学校,地域の学校ぐらいまではあれこれ考えられる教師を校内で育てていくことが必要だろうと思います。
      この続きは,また別の記事に書きたいと思います。

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